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●FEDサロン

「Business Venture for Quantum Computer -D-wave Systemを考える-」
高柳 英明(NTT)

<要旨>
 カナダのバンクーバーに本拠を置いているD-Wave Systemという会社は、世界で1つの、量子コンピュータの完成またはその技術の完成を目指しているベンチャー企業です。彼らは、超伝導を用いた量子コンピュータシステムのコマーシャライズを目的、ミッションにしています。この会社は、カナダのファンドを元に1999年に設立されました。当初は、高温超伝導体のd波を用いた量子ビットを提案しました。そのためにD−Waveと言っています。現在は、高温超伝導のd波のほうは、多少は、やっていると思いますけれども、かなり撤退していて、今、やっているのは、現実には、ほとんど我々と近くて、ニオブ、あるいはアルミを用いた磁束量子ビットを使って研究しております。
 この会社の研究者をご存じの方はよくわかると思うんですけれども、研究者のメインはロシア人です。どうしてロシア人なのか私はよく知りませんけれども、ファンダーは、もちろん、カナダの人たちですけれども、研究者、働いている人たちは、かなりロシア人が多いです。この会社を設立した当初は、高温超伝導を使ったものですから、私はその会社の存在も知っていましたし、研究者も知っていましたが、ちょっと驚きで、正直言って、高温超伝導を使っている量子コンピュータなんていうのは、ものすごく眉唾もので、今でもそう思っていますけれども、それを使って会社を作ったということで、ものすごく驚きだったんです。現在、会社規模は、ちょっとわかりませんが、多分、20、30名いると思います。
 おもしろいのは、新規のファンド獲得に、次々に成功していることです。例えば、2003年6月に、トップ・ユウエス・ベンチャー(top U.S. venture)のドレーパー・フィッシャー(Draper Fisher)という、ここは最初にYAHOOにお金を出したというので有名なところで、ものすごくお金をもっているところです。それで、これは、このファンドというかキャピタルは、アメリカ以外で投資したのは、これが初めてだそうです。それぐらい、このファンドがこれに興味をもったということだと思います。投資規模はわかりません。恐らく、何100万ドルというものだろうと思います。
 また、2004年3月には、ウエスタン・カナディアンズ・ラージスト・インスチツーション・ファンド(Western Canada's largest institutional fund)、大きい会社ではありませんけれども、ファンド獲得に成功しているんですね。これは、私にとっては驚きで、仮に今、私と中村さんが組んで会社を作って日本のファンドに応募しても、絶対、彼らはくれないと思います。くれるかな、かなり難しいと思います。その点、欧米は、誰彼にでも、非常にリスキーな研究であれ、そのビジネスにかかわらず、何億円という金を出すんですね。ここが、私は非常に裾野が広いというか、ふところが深いというか、驚きでした。もちろん、次にご紹介しますけれども、彼らは別に嘘を言っているわけではなくて、ちゃんと仕事をしていますので、お金が降りたんですけれども。
これは彼らのホームページからもらってきたものですけれども、この人が研究の中心人物で、ザボスキンという男です。ちょっと、口ひげをはやして、ハッタリくさいんですけれども、そんなに変な人ではなくて、バックグラウンドがちゃんとした物理屋さんですけれども、彼が研究の中心で、バンクーバーでこういう事業を展開していますということを。もちろんクリーンルームももっていますし、ここにあります有名なブリティッシュコロンビアユニバーシティ、UBCですか、そこにもかなり関係しておりますので、そこの施設も使っていると思いますけれども、基本的に彼らは、こういう施設をもってやっています。
 それから、ロシア人のネットワークというのは、非常に強くて、イチエフという人が、彼もロシア人ですけれども、ドイツにいましてプロフェッサーをやっているんですけれども、そことも共同研究をやっていますし、それからロシア人のネットワークを使って、スウェーデンのチャロマスホー大学にいる研究者ともネットワークを組んでいます。

図1 D-waveとARDAのロードマップ

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